私が求めていた世界観。鼻下長紳士回顧録。
安野モヨコさんの新刊読みました。
もう8年も新作が出ていなかったなんて思えないくらい日頃よく読んでいました。
(オチビさんはずっと連載されていましたが)
鼻下長紳士回顧録、最高に面白かったです。
パリの娼館でのお話で、美しい衣装や家具、
それらの存在感を遥かに上回る変態オヤジ達。
面白い!
さくらんが好きな人はドンピシャじゃないでしょうか。
安野モヨコさんの作品は、絵も大好きだし、
キャラクター達の人間味がとても魅力的です。
主人公が絶対正しいことばかりするわけではなく、
悪者が悪いことばかり考えているのではない。
人間臭い。
20代前半まで、本当に人付き合いが苦手だったのですが、安野さんの漫画で沢山の人に対する考え方を感じ、
すごく楽になったのを覚えています。
人間ってのは完全に正しくも悪くもいられない。
自分も許してもらうかわりに相手も許そう。
そうできなかった時は諦めよう。
本心に逆らうことはできない。
そう思えました。
安野さんのファンクラブに登録していて毎週メルマガが送られてくるんですが、
シュガルン連載時代からの担当さんが
「昔の安野さんは時間も守らないし(2時間遅刻とか普通にする)
こちらが言ったことを覚えてすらない時もあるし何故なんだと思っていたけど、
連載をお休みしてからすごくまともになった。
普通に礼儀正しくキチンとした人だった。
しかし鼻下長の連載が始まってから、また前の安野さんに戻った(笑)
物語を連載で描くということが人格を変えてしまうほど大変だと感じた。」
的なことを書いていて、
ちょっと泣きました。
私をあんなに勇気付けたり笑わせたりしてくれた作家さんが人格が変わるほど疲弊していたなんて、
作品を読んでいるときは微塵も感じませんでした。
それでもまた描くパワーが湧いてくるなんで、
普通の人のように擦り切れたり疲れたりするのは当たり前だけど、
やっぱり特別な人だと思います。
憧れます。
これからもずっと安野さんの作品を読み続けます。